ハリケーン
・リタ
-アメリカで怖かったことってありますか?
2005年に来たハリケーンだね。9月ぐらいだったかな。ハリケーン・リタ(注1)が来て、カテゴリー5とか言われてて。もう家がどんどん倒れちゃうんじゃないかって言われてて。海岸の、ガルベストンっていう場所の人が、上陸予定の2、3日前から避難を初めてて。私が住んでいた町、ヒューストンにも、「みんな避難してください」っていう風に避難勧告が出て。
(注1)ハリケーン・リタ
アメリカ南東部を襲った大型ハリケーン。強さは5段階中、1番強いカテゴリー5。約120人の死者が出たとされる。
私達はハリケーンが来る前の日の朝から移動を始めたんだよね。妻の幼なじみがダラスに住んでて、避難させてもらおうっていうことでさ。朝5時ぐらいに出たんだけど、すでに海の方から避難してきてる車で渋滞でさ。もう家の近くはなかなか動けないんで、抜け道探しながらゆっくりゆっくり行ってさ。高速道路とかに行っても、なかなか進まないのね。途中車を放置してる人達がたくさんいて。ガソリン切れたんだね。ガソリンスタンドにはガソリンがないし、スーパーとかには水が1つも無いし。もうすごい荒れた感じ。ゴミとかいっぱいあったり、諦めて寝転んでる人とかね。
-じゃあ、車にいない人っていうのはどうするんですか?
歩いたり、周りで寝てる人もいたけどね、どうするつもりかわかんないよ。お昼ぐらいになったらヒューストンからダラスに向かう道路が、反対車線も開いたのね。それでようやく動き出して、午後8時とかについたんだよね。朝5時に出て、午後8時。道路が空いてれば4,5時間なのよ。途中でガソリンが無くなるんじゃないかとか、怖かったよね。もう暑いからクーラー無しじゃ耐えられないし。
-結構ガソリン危なかったんですか?
どんどん減ってくよね。フリーウェイ(高速道路)は必ず混むから、できるだけ乗らないような道でいたのよ。フリーウェイ乗ってる人に聞いたら、渋滞で全然動けなくて、動けないうちにガソリン切れた車が結構あったらしいよ。で、ヒューストンの警察が水運んできてくれたりしてたらしい。
-怖いですね。
子供もいるしね。10何時間も車乗ってるけど、泣かなかったね。緊張が移ったんだろうね。ずっと大人しく黙ってたよ。結局直撃じゃなくて、そんなに被害は無かったんだけどね。
-それはよかった。
ヒューストンに帰ってくるときは有料道路も全部無料でウェルカムみたいな感じだったよ。「みんな帰ってきておめでとう」って、「よかった」って。